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百年目

もう帰りましょう
最後のメッセージを交わしたあと
吹きすさぶ砂塵のなか
あなたはどこへ行ったのか

あれから百年
声を限りに
熱気球を飛ばしつづけた日々
奈落の底に喉ごと落ちてしまった

あな と思ったら
あなたが と思ったら
あなたがいた と思ったら
それは 気だるげにうずくまる黒猫

教会の尖塔に止まって
疲れ果てた身体を干していると
あなたはくっきりと そこに
すり減った石畳を時雨で濡らして

もう帰りましょう
百年目の声であなた
停まってくれないタクシーを追いかけて
月明かりの墓地に着いた

本日
月面に降り立ち
つゆ草の花でたがいの白髪を染めて
また 旅に出る
まだ見ぬ本籍地へと

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テーマ : 詩・想
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

toruta

Author:toruta
・1934(昭和9年)8月 東京生まれ
・1992(平成4年)3月 詩集「仮面中毒」上梓
◇詩空間は「青年」の発信広場。すこし齢を重ねましたが、私の「青年」はいま真っ盛りです。
◇私は敗戦後70年を遍歴した者として、身近にこぼれた諸現象を、腰を屈めてたぐっていきたいと考えています。

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