「影」の魔力


きらめくネオンに酔った帰り道
気づかぬまま
長々と延びる影に
たぐられてしまった
山裾へ 森の奥へと

影を踏む そのたびに
自分の影が背後に消えて
薄くなりながら従いていく

大地のツボに耳を当てつつ
慎重に 一歩 一歩
秘密のゾーンに近づいていく影

そこで
かぐや姫を夢見る白い乙女たち
射し込む月のかけらを
宝石箱に集めて培養している
老婆になったのも気づかぬまま

そこに 押しこまれた行方不明の人たち
失った各自の影を頼りに
この先 いかに生きるべきか
または いかに逝くべきか
毎日 毎時 毎秒
討論をつづけている
過ぎゆく世紀を忘れ果てて

煌々と冴え渡る月光が
森の体温を奪っていく
徐々に
影の魔力をいっそう濃くしながら
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プロフィール

toruta

Author:toruta
・1934(昭和9年)8月 東京生まれ
・1992(平成4年)3月 詩集「仮面中毒」上梓
◇詩空間は「青年」の発信広場。すこし齢を重ねましたが、私の「青年」はいま真っ盛りです。
◇私は敗戦後70年を遍歴した者として、身近にこぼれた諸現象を、腰を屈めてたぐっていきたいと考えています。

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