ぼくの大邸宅

家に帰ろうとして 道に迷ってしまった
たしか こんな一本杉の原っぱがあった
たしか 小川に沿ったあんな小径があった
けれどなぜか ぼくの豪邸が見つからない

きらめくシャンデリアの下で
金貨を数える毎日だった 
(ほくそ笑みながら)

何度も
小川のほとりの 小径をたどってみた
一本杉の原っぱを 横切ってもみた
けれどなぜか ぼくの豪邸が見つからない

どでかい寝ぐらを見つけた
庭のベンチでは 何組ものペアがデートしていた
東京スカイツリーもそびえ建っていた
ダンボールならいくらでも

うっぷんをこめて
精一杯のくしゃみで夜空を揺する と
金貨が 金貨が 滝になって降ってきた
独り住まいのぼくの 大邸宅
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プロフィール

toruta

Author:toruta
・1934(昭和9年)8月 東京生まれ
・1992(平成4年)3月 詩集「仮面中毒」上梓
◇詩空間は「青年」の発信広場。すこし齢を重ねましたが、私の「青年」はいま真っ盛りです。
◇私は敗戦後70年を遍歴した者として、身近にこぼれた諸現象を、腰を屈めてたぐっていきたいと考えています。

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