海のふところ

夕陽を摘んでくる と
宇宙船つくりに没頭していた少年が
ふいに 丘を駆けおりていった

ドラが ドラが鳴る
船と波止場に間隔が割りこんでくる
さらば
夜尿症よ 赤面癖よ

夜空が割れて 南十字星が堕ちてきた

半鐘が喚きだす
船が関節痛に呻吟する
荒波と同じ高さの咆哮が 咆哮が
荒波と同じ数の慟哭が 慟哭が

波間にただよっている あれは
偽名だらけの乗船名簿

波をはがすと
海底に打ち捨てられた遊園地
宇宙船コースターが音もなく走っている

夕陽を孕んだ母が
少年に添い寝して 浜辺の歌をうたっている
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ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

toruta

Author:toruta
・1934(昭和9年)8月 東京生まれ
・1992(平成4年)3月 詩集「仮面中毒」上梓
◇詩空間は「青年」の発信広場。すこし齢を重ねましたが、私の「青年」はいま真っ盛りです。
◇私は敗戦後70年を遍歴した者として、身近にこぼれた諸現象を、腰を屈めてたぐっていきたいと考えています。

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