漂泊の村

この村は地図に載っていなかった
住人も海岸線も
刻々と寸法を変えてしまうから

たそがれの輪郭をした男に道を尋ねた
真っすぐ行きなせぇ
荒波に削られた絶壁に出るがよぅ
そこを どこまでも真っすぐ行きなせぇ

断崖を覗きこんで
ためらっている二つ首の生物がいた
乳飲み子を抱いた病める母親

太陽がこなごなに砕け散った海上を
三角波になって浮遊する家並み
指に水掻きをつけた村人が
顔をのっぺらぼうに延ばしてそぞろ歩いている

あかね色の水平線を目指した巡礼の
長い 長い列が行く
先頭から順に溶けていく
人も海水も同じ属性だから

かもめの群れが 急降下を繰り返している
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プロフィール

toruta

Author:toruta
・1934(昭和9年)8月 東京生まれ
・1992(平成4年)3月 詩集「仮面中毒」上梓
◇詩空間は「青年」の発信広場。すこし齢を重ねましたが、私の「青年」はいま真っ盛りです。
◇私は敗戦後70年を遍歴した者として、身近にこぼれた諸現象を、腰を屈めてたぐっていきたいと考えています。

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