故国へ

ふかしたての日本語なまりで
農夫が秋の詩を頬ばっている
あの山河 まだあるならば

ベンチに正座して呪文を唱えると
見よ 季節風に乗って故国が流れてきた

大洪水
脱糞しながら
驀進するトラックの大洪水

世界遺産が裾をまくって立ち往生している

開発だ 景気だ
国中の紙幣が踊りはしゃいで
人を喰ったり 喰わせたり

夜陰にたむろする女たちの定置網
からめ獲られた男たち
ボトルを抱えたまま
あ 垂直に堕ちて行く

吹きだまりの挫折をかき集めて
はかりに載せる
と 目盛りが壊れてしまった

拡がる後悔のただなかで
秋の詩も枯れはてて
もとのベンチに釣り上げられる
難破船となって

【らくがき】 国土拓けて 山河涸れる

スポンサーサイト

テーマ :
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

toruta

Author:toruta
・1934(昭和9年)8月 東京生まれ
・1992(平成4年)3月 詩集「仮面中毒」上梓
◇詩空間は「青年」の発信広場。すこし齢を重ねましたが、私の「青年」はいま真っ盛りです。
◇私は敗戦後70年を遍歴した者として、身近にこぼれた諸現象を、腰を屈めてたぐっていきたいと考えています。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
アクセスカウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR