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閉じない眼


活気づく魚市場
底引き漁で囚われた秋刀魚が
揚げられ 運ばれ
夕餉で 骨になるまでを
じっと 見つめている

この星から消される
その道のりを
瞬きもせず
ずっと 見つめている
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幕下りて


定年まで あと数年
突然の解雇
時代の流れだ と言い立てられて

運河の流れ 濁流
去り行く者の感懐が
暗渠へと落下していく

どさくさだったなぁ 
益こそすべてのグローバル化
従業員は 非正規で
もの造りは 途上国で
技術は 企業買収で
儲けは 別金庫へ

脳裏に去来する  忘れがたき群像
小さな成果も評価してくれた顧客たち
ささいな失態に涙しあった仲間たち
尽きることのない 回顧  

夜が更けても まだ  
夜が明けても なお
陽がのぼれば また
次の時代の幕が上がるまで

心待ち


いよいよ明日は
あの
うっとうしい情報が
いっさい遮断される日

虚言 強弁 おっとぼけ
収賄 隠蔽 しらばっくれ
介護 虐待 ほっかぶり

明日は いよいよ
月一回の新聞休刊日
心の安らぎ 取り戻す日

新聞なんか
読むなと言うけれど
 

虚報(うそ)


ようやく だった
国は虚報症を患ったまま
避難指示を解除しはじめた

帰れない
帰らない
帰りたくない
絡み合う住民の不信と不安
そのままに

そのままに
原発再稼動のたくらみが
虚報患者によって進められていた
近視眼で
計算機だけを叩き合って

住民の避難ままならぬまま
トイレのないマンションばかりが建っていく
プロフィール

toruta

Author:toruta
・1934(昭和9年)8月 東京生まれ
・1992(平成4年)3月 詩集「仮面中毒」上梓
◇詩空間は「青年」の発信広場。すこし齢を重ねましたが、私の「青年」はいま真っ盛りです。
◇私は敗戦後70年を遍歴した者として、身近にこぼれた諸現象を、腰を屈めてたぐっていきたいと考えています。

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