覚悟せよ


紙幣で地球をぐるりと巻いて
刻々と締めつけていく
世界一の借金国

この国で生存する限り
誰でも
毎日 生存税を納めねばならない
いくら税率をかさ上げされてもだ

いよいよ
めでたく生存を終了するときは
誰でも
死亡税を払わねばならない
いくら目玉が飛び出るほどであってもだ
一回かぎりだから

払えない?
払いたくない?

それでも よろしい
その代わり 死なせてあげない
永遠に
永遠に累増する税からの
締めつけから逃れられない

覚悟せよ
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茶番劇


[議論]
行き止りの細道を
行ったり 戻ったり
たがいの文法を
投げたり 受けたりして

[策略]
けじめのない弁解が延々と…
いい加減にしてよ
脳にタコができてしまうよ

ようやく
こちらの番になった が
しまった!
用意した質問 ぜんぶ忘れてしまっていた

[答弁]
繰り返し はぐらかし
はぐらかし 繰り返し

突然 簡単に断言する
ことの本質が分かっていないから
辻褄が合わなくても平気

いつまでも喋らせておけ
次への愚行をさせないために

百年目


もう帰りましょ
最後のメッセージを交わしたあと
吹きすさぶ砂塵のなか
あなたはどこへ行ったのか

あれから百年
声をかぎりに
熱気球を飛ばしつづけた日々
奈落の底に喉ごと落ちてしまった

あな と思ったら
あなたが と思ったら
あなたがいた と思ったら
それは 気だるげにうずくまる黒猫

教会の尖塔に止まって
疲れ果てた身体を干していると
くっきりと そこに あなた
すり減った石だたみを時雨で濡らして

もう帰りましょ
百年目の声であなた
停まってくれないタクシーを追いかけて
月明かりの墓地に着いた

本日
月面に降り立ち
つゆ草でたがいの白髪を染めて
また 旅に出る
まだ見ぬ 本籍地へと

絶海の村


この村は地図には載っていなかった
海岸線も 村人も
刻々と寸法を変えてしまうから

たそがれの輪郭をした男に道を尋ねた
真っすぐ行きなっせぇ
どこまでも真っすぐ行きなつせぇ

断崖を覗きこんで
ためらっている人がいた
乳飲み子を抱いた病める母親

太陽がこなごなに砕けてできた
三角波の家並
指に水掻きをつけた村人が
そぞろ歩いている

茜色の水平線をめざして
夕波を掻き分け 掻き分け
巡礼の長い列が行く
先頭から
順に
熔けていく

かもめの群れが
急降下をくり返している

プロフィール

toruta

Author:toruta
・1934(昭和9年)8月 東京生まれ
・1992(平成4年)3月 詩集「仮面中毒」上梓
◇詩空間は「青年」の発信広場。すこし齢を重ねましたが、私の「青年」はいま真っ盛りです。
◇私は敗戦後70年を遍歴した者として、身近にこぼれた諸現象を、腰を屈めてたぐっていきたいと考えています。

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