わが家族


わが父は
栄光のサファリー・ラリーに出場して はや百年
まだゴールインしていない

母は
呑んだくれの塵となって
宇宙の淵をさ迷いつづけている

妹は
むかし むかしの大昔
幼稚園の遠足で竜宮城へ行ったきりだ

兄は
家族を探索する支度をしているうちに
昨日 九十九歳で逝ってしまった

おれは と言えば
散髪のあと 
そのまま象の密猟に出かけた が

猛獣どもに
身ぐるみを献体
腸内を さんざん散策したあと

オアシスのほとり
ほくほくと湯気を立てながら
父と遺恨の碁を打っている

寡黙にひろがる鰯雲が
夕陽に染まって
ゆっくりと 流れている


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越境者


垣根をくぐって
隣のネコが
うちの庭を
専用トイレにしていやがる

もともと垣根は
まっさらな白地図に
人間が 
先を争ってラインを引いたもの
それを 縮めろ伸ばせ
で 有事を頻発させてきた

いまでも 垣根を越えて
家人を水鉄砲で追い回したり
垣根の内側に
さらにロープを張って
プロレスゴッコをしたりして

あっ
ネコがまた 平然と垣根を侵してきた
空高く 雁行が悠々と垣根を侵している

重罪である

鳥の巣


豪華な調度に囲まれて
賑わう一家団欒の宴

あゝ この幸せのひとときを
どれほど夢見たことだろう
おれも ようやく一城のあるじ
一人前の男になったのだ

地球人が 勝手に
火星に火星人を住まわせた
ように
華美で豊満な生活こそ
豊かで幸せな人生 と
地球人が 勝手に
自分の脳に棲みつかせてしまった

薄暗い空き部屋を覗くと
強欲パーティの青鬼たちが
人々の通帳を 
黙々と齧っている  

空き家が目立つ大都会
帰る巣を見失った鳥たちの
失望と悔悟が
冷え冷えとした家並の上を
懸命に旋回している

不便を便利 にして
便利を便利 として
心地よく住める
人それぞれに ふさわしい
鳥の巣を探しながら

 
プロフィール

toruta

Author:toruta
・1934(昭和9年)8月 東京生まれ
・1992(平成4年)3月 詩集「仮面中毒」上梓
◇詩空間は「青年」の発信広場。すこし齢を重ねましたが、私の「青年」はいま真っ盛りです。
◇私は敗戦後70年を遍歴した者として、身近にこぼれた諸現象を、腰を屈めてたぐっていきたいと考えています。

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