旅(偽装社会③)


春が来た どこに来た
テレビに来た
嬌声が溢れている

ならば おれも
日本中の絶景に
落書きを残してきた このおれだ

ネットで
あれだ これだ
未踏の地を検索して
文明発祥の
ユーフラテスのほとりをクリックした
(もう 美しい日本には ほとほと飽きた)

非戦闘地域のはずの戦闘地に
不気味に広がる瓦礫の山々
これこそ一枚の絶景

イスラム兵士になった おれ
バズーカー砲で文明を一撃した
よし 上出来だ

この二枚の画像を
合成処理して
世界の友に一気に配信した
感傷的なコメントを添えて

次は 宇宙の糸川博士に遭遇して
宇宙論を語り合うるつもりだ

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無策の末

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犬の散歩



飼い主を 人間を
信じ 信じつづけ
待って 待って 待ちつづける
犬たちの のたうち吠え

処分室への道すがら
危うく 死神の股間をすり抜けて
わたしの股間にたどり着いた犬がいた
愛犬ポンタだ

ある朝
いつものように
ポンタに湖畔を散歩させていた
爽やかな気分に浸りながら

? あれっ
わたしが首輪をはめて
尻尾を振りながら
散歩をさせられている

もの言えぬポンタ
いつも従順に
可愛らしさを振りまきながも
あのポイ捨ての記憶が
彼の心の芯で疼きつづけている

もの言えぬポンタ
たとえ買われた愛玩 でも 
いのち対いのち
その繫がりに節度を求めている

翌朝
ポンタと湖畔を散歩した
いつものように
爽やかな気分に浸りながら
もの言わぬ
この生き物の心情を測りながら

造花[偽装社会②]


春遠からじ
ネクタイ締めて
婚活なるものに出席した

世界の名だたる伝説美女10数人
それぞれ
得意のポーズで咲き乱れていた

横顔の美しい女性がいた
だれだろう?
若い頃のあのドヌーヴか
不意にこちらを向いた
直感と直感が
たがいの瞳を貫いた

翳りのある交錯した顔
キュビズムの女性だった 

デートを重ねながら
違和感があった
「あんた ほんとに女?」
「ノン あなたは?」
「ぼく 男でも女であるんだ」
プロフィール

toruta

Author:toruta
・1934(昭和9年)8月 東京生まれ
・1992(平成4年)3月 詩集「仮面中毒」上梓
◇詩空間は「青年」の発信広場。すこし齢を重ねましたが、私の「青年」はいま真っ盛りです。
◇私は敗戦後70年を遍歴した者として、身近にこぼれた諸現象を、腰を屈めてたぐっていきたいと考えています。

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