二人の関係

禁断の果実に飽きて
二人は
いつもの仲たがいをはじめる

金魚の世話はあなたよ
養殖で大儲けする気なんだから
キツネの飼育は お前
勝手に生んだんだから

神々の悪意が待ち受ける辻々
不器用に手をたずさえて
黄昏の街を抜けた 二人
鉄橋上から
遥か 暮れなずむ地球の淵を覗きこむ
とたん

轟音と噴煙に先手を打たれ
行方不明となる

どこだ どこだろう

金魚鉢の中の二人
を発見した彼ら
いつもの仲たがいをつづける

大儲けはどうしたのよ
お前こそ キツネを騙したせいだろう

長い ながい二人の下り階段
分岐していて
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廃寺

舌を一枚だけ抜いて
男が 過去帳に貼りつけに行く

おっ 杉並木から無数のひぐらしが飛びたって
殺意が目の前をよぎった
何者だ

背中を丸めて庫裏へ走りこむ女が
振り向きざま しなやかな裸体を見せた
とたん 男に罪科が加えられた

蜘蛛の糸が執拗にからんでくる

破れ障子をのぞくと
女が 右手で地獄を編みながら
男の舌を抜いている
左手で極楽をほどきながら
男の 欲望を食いちぎっている

ふところに手を入れて
何者だ
無花果(いちじく)の樹の下を駆け抜けて行つた者がいた



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プロフィール

toruta

Author:toruta
・1934(昭和9年)8月 東京生まれ
・1992(平成4年)3月 詩集「仮面中毒」上梓
◇詩空間は「青年」の発信広場。すこし齢を重ねましたが、私の「青年」はいま真っ盛りです。
◇私は敗戦後70年を遍歴した者として、身近にこぼれた諸現象を、腰を屈めてたぐっていきたいと考えています。

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