里帰り

どこに隠れていたのだろう

もういい~かい い~かい
声帯をそよがせながら 鬼が山裾を駆けおりる
澱んだ予感を運んでくる

ひと雨ありそうだ 急がねば

薄暮の奥から
霧笛がむせびながら応えている
まぁ~だだよう だよう

橋の下で嬰児が泣き叫んでいた
自分で自分を拾うのは どうも
知らぬ顔で通り過ぎた

だれだろう
亡き母の部屋で密談するのは
近寄ると ぷっと灯影が消えるのだ

野辺送りの祭り
鬼が薪割りダンスを踊りながら
燃えたぎる篝火に遠雷を投げ入れている
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ジャンル : 小説・文学

折々の景色

無精ひげを枯らして
森が怠惰に寝そべっている

その日 快晴
樹々の音合わせを合図に
せめぎあって飛び立つ花びらたち
そよ風を舞いながら
草原のかなた かなたへと…

華麗な演奏がはじまる
お 見渡す限りの
ひまわりが踊りだした
ひとときの宴

やがて 秋の日の吐息が
ひとつ
またひとつ 
蒼空に足跡を残して流れていった

季節がわななく
樹々が
身もだえしながら衣裳を脱ぎ
朽ちる位置を探して横たわる

風景がとっぶりと褪せていった
木陰に目覚めた悪霊が
森からの脱出をしきりに窺っている

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プロフィール

toruta

Author:toruta
・1934(昭和9年)8月 東京生まれ
・1992(平成4年)3月 詩集「仮面中毒」上梓
◇詩空間は「青年」の発信広場。すこし齢を重ねましたが、私の「青年」はいま真っ盛りです。
◇私は敗戦後70年を遍歴した者として、身近にこぼれた諸現象を、腰を屈めてたぐっていきたいと考えています。

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