僭越ですが

磨きすぎて とうとう
のっぺらぼうになってしまった あなた
だけどさ
なにも鼻なんかなくてもよいのですよ
象じゃあるまいし

顔とは 内なる異臭をふさぐもの
活火山であるか 丘陵であるか
だけ なのに
新しい顔に替えると言い張って
ほうら
裏返しに付けてしまったじゃないですか

あなたは 香水の厚着をして
隙間という隙間をふさいで
いそいそとベットにもぐってしまった
やがて 定規のように眠りこけるために
かぼちゃの馬車に乗るために

牡蠣(かき)の殻をこじあけるには
くすぐるとよい と言いますが 
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ジャンル : 小説・文学

遡行

起源に近づく方法を探して
分厚い時刻表をひも解いてきた
神仏の魂胆で書かれた運行表には
閉じ込められた膨大な時間が 悲鳴を軋ませていた

もう一切が印刷済みというなら よろしい
刻(とき)の匂いを辿って
果てしない旅をつづけよう
ひたすら逆行する旅を

いきなりプラットホームに投げ出された
わっと 叫ぶと
わっと 口腔に隕石が飛び込んできた
刻を戻り過ぎてしまったらしい

大地が激震におののいていた
月との復縁を夢見て地球が悶えているのだ
霞んだ視野に
遣月使が怒涛の航路を昇って行くのが見えた

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プロフィール

toruta

Author:toruta
・1934(昭和9年)8月 東京生まれ
・1992(平成4年)3月 詩集「仮面中毒」上梓
◇詩空間は「青年」の発信広場。すこし齢を重ねましたが、私の「青年」はいま真っ盛りです。
◇私は敗戦後70年を遍歴した者として、身近にこぼれた諸現象を、腰を屈めてたぐっていきたいと考えています。

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