相関図Ⅱ


(平等法)
女性はもっぱら男の子を
男性はもっぱら 
女の子を 産むことになった

(品定め)
蝶は華麗なダンスで
さんざん気を惹いたあげく
急旋回
未踏の奥地へ飛んでいってしまった

(雲行き)
気をつけろ
暗闇に潜んでいる嫉妬が
朝の扉が開くのを じっと待っている

(もしも)
妻の連射するグチに
重度のうつ病に罹ってしまった
おれを 厨房に入れないでくれ
そこには刃物が揃っている

(予測外)
見事 高層マンションを入手したお二人
だったが
突然の三角関係の大揺れで
彼は妻を突き落とし
見事 自分も転落を果たした

(寿)
海辺で朝餉をとる老夫妻
銅鑼を鳴らして遠ざかる
幾歳月のあれこれを
ゆらり ゆらりと味わっている
 
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相関図(男と女)


(本音)
男性は
女性が好きだが おんなは嫌いだ
女性は
おとこの腕力を頼るが
男性の資力こそが大好きだ

(リセット法)
男は 森の土中深く女を寝かしつける
女は
偽の妊娠を告げて 他の男のもとに走る

(勘違い)
あなたは
間違いなくあなた なのに
わたしは
あなた無しでは わたしではない

(平穏)
彼女が
沈黙を相手に しゃべり続けている
その間
彼氏は 耳にタコを栽培している

(無常)
熟柿を一つだけ遺して
最後の朽ち葉が ぽとりと落ちた

酷暑の日々


暑い 暑い
で 氷イチゴに逢いに行く
と 氷店が融けてなくなっていた

ならば
と いつも冷たいあの女に逢いに行く
融けてしまったという

ならば
いつも氷イチゴの
涼やかなあの女に逢いに行く
居留守を使われる
みんな 融けてしまったのか

あゝ 酷暑のなかのサウナ風呂
緑したたる森よ いずこ

いつの日か
そよ風の河岸から
花火を見あげるときがくる
いつの日か
冷雨で浴衣を濡らすときがくる

口笛なんか吹いちゃって
顔を融かしながら

二人の関係

禁断の果実に飽きて
二人は
いつもの仲たがいをはじめる

金魚の世話はあなたよ
養殖で大儲けする気なんだから
キツネの飼育は お前
勝手に生んだんだから

神々の悪意が待ち受ける辻々
不器用に手をたずさえて
黄昏の街を抜けた 二人
鉄橋上から
遥か 暮れなずむ地球の淵を覗きこむ
とたん

轟音と噴煙に先手を打たれ
行方不明となる

どこだ どこだろう

金魚鉢の中の二人
を発見した彼ら
いつもの仲たがいをつづける

大儲けはどうしたのよ
お前こそ キツネを騙したせいだろう

長い ながい二人の下り階段
分岐していて

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廃寺

舌を一枚だけ抜いて
男が 過去帳に貼りつけに行く

おっ 杉並木から無数のひぐらしが飛びたって
殺意が目の前をよぎった
何者だ

背中を丸めて庫裏へ走りこむ女が
振り向きざま しなやかな裸体を見せた
とたん 男に罪科が加えられた

蜘蛛の糸が執拗にからんでくる

破れ障子をのぞくと
女が 右手で地獄を編みながら
男の舌を抜いている
左手で極楽をほどきながら
男の 欲望を食いちぎっている

ふところに手を入れて
何者だ
無花果(いちじく)の樹の下を駆け抜けて行つた者がいた



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プロフィール

toruta

Author:toruta
・1934(昭和9年)8月 東京生まれ
・1992(平成4年)3月 詩集「仮面中毒」上梓
◇詩空間は「青年」の発信広場。すこし齢を重ねましたが、私の「青年」はいま真っ盛りです。
◇私は敗戦後70年を遍歴した者として、身近にこぼれた諸現象を、腰を屈めてたぐっていきたいと考えています。

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