一匹


魚群探知機に追われた
さんまの大群
一網打尽

だったが
逃げに逃げたさんま一匹

だったが
枯渇寸前
逃げに逃げ切れなかった さんま一匹

だったが

身を炭火で焼かれながら
思いっきり煙りを吐き散らして
人間どもを 逃げ惑わせている

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どうしてそんなに


投票を終えて
急いで帰宅すると
テレビのチャンネルからチャンネルへ
バンザーイの蛮声


なぁんだ
はじめから決まっていたのか

刻々と進む開票を
ハラハラ ドキドキ
最後に やむなく結果を受け入れる

この緊張のときめきを
この参加の達成感を
得意げに
横取りしたのはだれだ

メディアは競合のあげく
おのれの使命を間違えて
有権者の気構えを読み間違えて
一斉に
大掛かりに
速報の洞窟へ迷い込んでしまった

「狭い日本 どうしてそんなに急ぐのか」

愛国者


許せない
世界第2位なった経済力が
オリンピックのメダル獲得数が
有人宇宙船の打ち上げ成功が
シルクロードを通る通称圏の大構想が
国産空母の完成が
超高濃度のスモッグが
黄沙が  

それら
日本を越えることが 許せない

水族館


ぶ厚いガラスで守られた楽天地
小魚の群れを率いて
天下のおきてを決める擬似まぐろが
平然と
おきてを犯し
処罰の網をするり するりと
すり抜けて

病院の生けすで
悠々と
泳いだり 寝ころんだりの1か月  

みそぎが明けた として
今日もまた
群れを従え
抜け穴だらけのおきてを決めている

じわりじわり


夕焼けに映える九条という大橋
弁慶が振りまわす長刀に
老いた義経だけでは
かわしきれなくなった

遠巻きする町衆の関心事は もっぱら
今日の
明日の
自分の
損得ばかり

刀剣狩りは あと一本で千本だ
この驕慢を謝らせる
若き義経よ いずこ

今日が
じわ じわ じわ
夕闇に馴染んでいく

プロフィール

toruta

Author:toruta
・1934(昭和9年)8月 東京生まれ
・1992(平成4年)3月 詩集「仮面中毒」上梓
◇詩空間は「青年」の発信広場。すこし齢を重ねましたが、私の「青年」はいま真っ盛りです。
◇私は敗戦後70年を遍歴した者として、身近にこぼれた諸現象を、腰を屈めてたぐっていきたいと考えています。

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